種子はくるくる飛んでいる

エッセイを書きます。

2016-01-01から1年間の記事一覧

遠くのことを大事に思い出す

突然いなくなった人のことを考える。 多分誰だって突然いなくなってしまう可能性がある。 わかっているけどわからない。 いつもいなくなってしまった後になって悲しいだけだ。 もっとこの人の作品が見たかったなぁ、とか またあの人の料理が食べたかったなぁ…

その中身は気にしない

もらえるものは有難くいただく 多分その裏の意味なんて深く考えないほうがみんな幸せだろう。 優しさは優しさで美味しく味わう。 悪いことは、起こってから考えよう。 「その点この僕にはわかるよ」なんて言ってくれる人もいないけれど、 ひとりで根拠のない…

笑い話には、まだ

大きな災害で住んでいる土地が大きな被害に遭ってしまった、ということを 私は、世界がリセットされてしまったようなものだと捉えている。 うちの父親は昔酔っ払ったときに 「人生のリセットボタンは自分では押せないところにある」 と言った。 私の住む街は…

鰯の頭への祈り

鰯の頭のようなものなら世界にはありふれている。 その気になればきっとどんなものにだって信心を持つことができるのだろう。 神と呼べばそれは神になり、天使と思えばそれは天使なのだ。 誰かの神を踏むようなことはしたくないが、どれが神なのか見分けるこ…

我々になれない。

この星にやってきてから知ったけど、宇宙人は「我々は」と言って自己紹介することになっているらしい。 私は失恋から傷心の一人旅をしているうちに偶然ここへ辿り着いたので、我々って言いたくても仲間が居ない。 この星の定型文で「我々は宇宙人だ」なんて…

自由の言い訳

自由で勝手なところが魅力的だというのは良いことのようで、 そこにはどうしたってジレンマが発生する訳で。 自由であれと言われて自由でいるならそれはもう自由じゃないんじゃないかとか、 そういうしょうもないことを、自由じゃない人は考えてしまうのだ。…

海の底から少し離れただけ

大抵のことは永遠より短いのである。 ただそれを言葉にするのが野暮なだけだ。 昔のことを思い出す。 あの時のあれはなんだったんだろう。 深い意味はなかったのかもしれないけど。 海の底にいた時には真剣だったけれど、 海の外に出てくればなんてことはな…

うーん。

なんにもできないなあ、私。とか思いながらそれなりにやっていくしかないのである。 わかっちゃいるけどぐだぐだと、そりゃ側から見たらイライラするだろうなあ。 動き出すには反動が必要で、せーのでえい、の前段階。 時が来れば動くよ、自分でもわかる、い…

向かい合ったなら

「君は美しい」と「世界は美しい」が同義になるような そういう瞬間がある それが世界から異質であればあるほどきっとそのイコールは強くなっていく 世界から異質なものは、きっとその中に世界が内包されている バニラの香りの蝋燭が暑さで溶けて部屋が甘い…

打ち上げられた思い出

私にとって海といえば、高校の近くから見える海だ。 私の通っていた高校は人工島の上にある。 タンカーやコンテナ船が割拠する港に囲まれた島から見える海は 青というより暗い深い緑が強く、とても泳げるような場所ではない。 それでも、私はあの海が好きだ…

憧れとキラキラ

何かに憧れているひとは、可愛い。 憧れを隠さず夢中で語るひとはキラキラしている。 憧れだけだったとしても、隠さず語れるってだけで強い。 夢がないというよりは、微かな憧れを夢として語る勇気がないことの方が多いのかも。 口に出して表明するのはなん…

反芻するバッファロー

ゴールデンウィークの真っ只中に生まれたので、学校で誰かに祝われるだろうかとドキドキするような経験がない。 そもそもあまり積極的に誕生日をアピールする方でもないから、平日でも変わりはなかった気がするけど。 オードリー・ヘップバーンと同じ誕生日…

アウトプット

話の設定やあらすじばかりが浮かんできて、それが頭の中で完璧なものになってしまうことがある。 もう自分の頭の中で理想の完成形になっていて、アウトプットする必要を感じなくなってしまうのだ。 最初は「こんな話が読みたい」と思っていたのに、脳内でス…

大雑把なダンスを

お菓子を作るのは好きだ。この時期になると色んな店で手作りお菓子のキットが販売されていて、なるほどそういうのもあるのか、と見ているだけで楽しい。ただ、手作りお菓子をあげるような特定の相手も居ないし、友達や知り合いにあまりやたらに手作りの食べ…

移り変わる

私は大変疲れやすい人間だと思う。 というより、疲れになかなか気付かない割に体力はさっぱりないので、気が付くともう手遅れなくらい疲れているのだ。 疲れを自覚した頃にはすっかり疲れきっているのでもう寝るしかない。 そして一度眠りだすと起きない。普…

空と回転

PONKOTSU-BARON project 第2弾 『回転する夜』 を観劇してきた。 海沿いの田舎町に住む引きこもりの青年と兄夫婦、幼馴染たちの話。 後悔している出来事を夢の中で何度も何度も回転し、繰り返して、真実を知る。 話の中で明らかになること以外にもかなり考…

バスに乗る

夜行バスに乗る時にはいつも思い出す曲がある。 「長距離バスの窓の外にどこまでも君が手を振る」 秋元康の歌詞にはバスがよく出てくる、という話があったが、野猿の時からそうだった。大抵少し寂しくて切ない、別れの曲である。 ただ、窓の外にどこまでも君…

テイクオフ

「勉強をすれば選択肢が広がる」と教師に言われた記憶はあるが、広がった選択肢からどうやってひとつ選択すべきか、ということをちゃんと教わった記憶はない。 勉強にさほど真面目でもなかったけれど、色々なことを知るのは好きだ。 なんとなく広がっていく…