移り変わる
私は大変疲れやすい人間だと思う。
というより、疲れになかなか気付かない割に体力はさっぱりないので、気が付くともう手遅れなくらい疲れているのだ。
疲れを自覚した頃にはすっかり疲れきっているのでもう寝るしかない。
そして一度眠りだすと起きない。普通に18時間くらい連続で寝てしまう。起きると夕方である。
長く眠っていると長い夢を見ることがある。大抵起きるとすぐに忘れてしまうけど、しばらくはおぼろげに覚えていることもある。
夢というのは不思議なもので、劇場にいたはずが気付いたらホテルになっていたり、何か動物を追いかけていたはずが迷子を背負って保護者を探していたり、状況も目的もいつの間にかすり替わってしまうことがよくある。
夢を見ている時間が長いから、脳が直前のことをすぐ忘れて違う状況を作り出してしまうのかもしれない。
そして夢の中以外でも往々にして、気が付いたら何かがすり替わってしまっていることがある。
それは目的であったり、やりたいことであったり、感情であったり。
「空の絵を描いていたつもりが海みたいになってしまう」ようなことがいつも繰り返されている。
初志貫徹は美しいけれど、海のようになってしまったのをそういうものとして開き直ったほうが無理やり空の絵に戻してしまうより良いことだってきっとある。
変わっていく気持ちを無理に戻すよりもそれはそれとして受け入れて、流されてみるのもひとつの生き方だ。
もしかしたら前よりもっと素敵なものに変わっていくのかもしれない、なんて楽観で今日も開き直って生きている。
カモメ/野狐禅