種子はくるくる飛んでいる

エッセイを書きます。

我々になれない。

この星にやってきてから知ったけど、宇宙人は「我々は」と言って自己紹介することになっているらしい。

私は失恋から傷心の一人旅をしているうちに偶然ここへ辿り着いたので、我々って言いたくても仲間が居ない。

この星の定型文で「我々は宇宙人だ」なんて言ってみたかったのに、「私は宇宙人だ」じゃ、なんだかスマートすぎる。

それでもスパイとかならまだ格好がついたけど、ただのバックパッカーなんてガッカリだ。

私の星に初めてきた宇宙人がフられた勢いで飛び出してきた女子大生だったら絶対えー!?って思う。

なんてつまんないんだろう私って、なんて、遠い星までやってきてこんなアンニュイなこと考えてるのが更につまらない。

ご飯は美味しくてよかった。旅でご飯が美味しいって重要だ。

ご飯の不味い旅なんて最悪。家から送ってもらうわけにもいかないし。

いつまでここに居ようかな。休みが終わるまで?いつから授業開始だったっけ。

折角なら、新しい素敵な出会いを見つけてから帰りたいじゃない?なんて言って、

こんな遠い星の地でそんなフィクションみたいなドラマが起こるはずもない。

なんとなく観光して、普通に帰って、あー疲れたって寝るだけなんだろうな。

でも、そんな夢みたいな淡い期待で旅したこともきっといい思い出になる。

私だけの、大切な宝物。ってね。

明日はどこに行こうかな。

 

(今日のブログはフィクションです。)

 

ヴィーナスとジーザス/やくしまるえつこ

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