遠くのことを大事に思い出す
突然いなくなった人のことを考える。
多分誰だって突然いなくなってしまう可能性がある。
わかっているけどわからない。
いつもいなくなってしまった後になって悲しいだけだ。
もっとこの人の作品が見たかったなぁ、とか
またあの人の料理が食べたかったなぁ、とか
思ってもそれはもう叶わないけど
時々思い出して、その思い出を大切に転がしている。
意味があるようなないような
わかるようなわからないような
通るような通らないような
そのギリギリくらいの言葉選びが好きだ。
やさしく心地良い語感の流れだけで
何もかも全て伝わって伝わらなければ良いのに。
海に舞うペンギンになりたいのか、
水底からそれを見たいのか、
それとも遠くからその全ての様を想像して
かかかと笑うのが一番幸せなのかも。
この世界の全ては不条理なのだから
楽しいことも悲しいことも
きっといつかは笑いとばすしかないんだろう。
その日まで大事に大事にしまっている。
Penguin/ジラファント
その中身は気にしない
もらえるものは有難くいただく
多分その裏の意味なんて深く考えないほうがみんな幸せだろう。
優しさは優しさで美味しく味わう。
悪いことは、起こってから考えよう。
「その点この僕にはわかるよ」なんて言ってくれる人もいないけれど、
ひとりで根拠のない自信の中。
ダメなところは気にしない。
いいところを伸ばしてこう、何がいいところなんだかさっぱりだけど。
楽しいならいいんじゃないかな、多分。
暴れるだけ暴れて楽しんで、飽きたらサッと突然やめる。
思い返せばいつものことだ。
うーん、完璧主義にはなりなくないな。
空欄が全て埋まらなくたって、7割できれば無問題。
3割だって、多分上出来。
1割?0.5割?
手をつけただけえらいよ。
楽しもうぜ、楽しめるうちに。
毒だろうが薬だろうが、食らわば皿まで、ってね。
マシマロ/奥田民生
笑い話には、まだ
大きな災害で住んでいる土地が大きな被害に遭ってしまった、ということを
私は、世界がリセットされてしまったようなものだと捉えている。
うちの父親は昔酔っ払ったときに
「人生のリセットボタンは自分では押せないところにある」
と言った。
私の住む街は私が5歳の時にリセットされた。
それから私は被災地と呼ばれる場所で育った。
私にとっての懐かしい故郷は、瓦礫とブルーシートに覆われた、埃っぽいあの頃の景色だ。
それはきっと田舎で育った人が田んぼに囲まれた風景を懐かしむように、
私はあの頃の瓦礫の街を懐かしく思ってしまう。
きっとこれからいつまでもそうなのだろう。
どこか後ろめたさを覚えながらも、今もあの景色が愛おしい。
今はもうすっかり綺麗になって、別物になってしまったこの街も、
それはそれで愛おしいのだけれど。
どこかで災害が起こるたびにきっと誰かの世界がリセットされている。
私の世界だって、いつ二度目のリセットが来るかわからない。
世界はいつか突然リセットされるものだといつだって思っている。
『忘れない』なんてものではなくて、多分、私の思考の根幹にあの出来事がある。
世界とはそういうもの、という前提で私は生きているのだ。
バターで焼いた甘い幸せはいつまでも続かない。
それでもなるべく甘いのを味わって生きていたい。
続かないからこそ、甘いうちに、焦げないうちに。
まだ全てを笑い話には差し替えられないけれど、
だからこそ、いまの甘さを味わって、時間をたっぷり食べよう。
スリーピーバター/KNOTS
鰯の頭への祈り
鰯の頭のようなものなら世界にはありふれている。
その気になればきっとどんなものにだって信心を持つことができるのだろう。
神と呼べばそれは神になり、天使と思えばそれは天使なのだ。
誰かの神を踏むようなことはしたくないが、どれが神なのか見分けることはできない。
なるべくものを踏まないようにそろそろと歩くしかない。
私の愛する鰯の頭たちよ、今日も私は信じているよ。
そんなことは知ったことじゃないだろうけれど、確かにそれで良いのです。
何も報われることも救われることも期待していないのです。
ただこの世界に在ってくれれば、勝手に何かを感じ取ってお告げにするので。
もしもなにか望むことが許されるのならば、
ほんの少しでいいから、自分をこの世界の中で特別な存在だと思っていてほしい。
信仰に値するような存在だと、ほんの少しだけ自覚していてほしい、なんて。
贅沢なお願いを空中に祈ってみる。
勝手にその者の中に神の名をみる人間のどうしようもない祈り。
神の名前に堕ちる者/kaoling
我々になれない。
この星にやってきてから知ったけど、宇宙人は「我々は」と言って自己紹介することになっているらしい。
私は失恋から傷心の一人旅をしているうちに偶然ここへ辿り着いたので、我々って言いたくても仲間が居ない。
この星の定型文で「我々は宇宙人だ」なんて言ってみたかったのに、「私は宇宙人だ」じゃ、なんだかスマートすぎる。
それでもスパイとかならまだ格好がついたけど、ただのバックパッカーなんてガッカリだ。
私の星に初めてきた宇宙人がフられた勢いで飛び出してきた女子大生だったら絶対えー!?って思う。
なんてつまんないんだろう私って、なんて、遠い星までやってきてこんなアンニュイなこと考えてるのが更につまらない。
ご飯は美味しくてよかった。旅でご飯が美味しいって重要だ。
ご飯の不味い旅なんて最悪。家から送ってもらうわけにもいかないし。
いつまでここに居ようかな。休みが終わるまで?いつから授業開始だったっけ。
折角なら、新しい素敵な出会いを見つけてから帰りたいじゃない?なんて言って、
こんな遠い星の地でそんなフィクションみたいなドラマが起こるはずもない。
なんとなく観光して、普通に帰って、あー疲れたって寝るだけなんだろうな。
でも、そんな夢みたいな淡い期待で旅したこともきっといい思い出になる。
私だけの、大切な宝物。ってね。
明日はどこに行こうかな。
(今日のブログはフィクションです。)
ヴィーナスとジーザス/やくしまるえつこ
自由の言い訳
自由で勝手なところが魅力的だというのは良いことのようで、
そこにはどうしたってジレンマが発生する訳で。
自由であれと言われて自由でいるならそれはもう自由じゃないんじゃないかとか、
そういうしょうもないことを、自由じゃない人は考えてしまうのだ。
それでも私は、自由でいてほしいと願う。
その自由を見ているだけで自分も自由でいられるような錯覚があるから。
きっと嫌いな人は嫌いなんだろうな、なんて考えてしまうのが、そもそも不自由な人って感じだけど。
「それでも」が大事なんだよ。
マイナスを並べて、それでも、と言いたいこと。
一般的にマイナスですら、プラスに見えるくらいの「それでも」がそこにある。
だから走って会いに行く訳だ。
憂鬱な気分を吹き飛ばすその存在に会いに。
本当は私のためなんかじゃなくていい、自分のためだけでいい。
でも、もしも自由であることに理由をつけなきゃいけない時があったなら、
私のせいってことにしてくれたっていいから、自由でいてほしい、なんて。
自由じゃない人間は言い訳が多くて大変だね。
とにかく何も気にしないで、今のままそのままでいてほしいだけ。
エンジェル/ウルフルズ
海の底から少し離れただけ
大抵のことは永遠より短いのである。
ただそれを言葉にするのが野暮なだけだ。
昔のことを思い出す。
あの時のあれはなんだったんだろう。
深い意味はなかったのかもしれないけど。
海の底にいた時には真剣だったけれど、
海の外に出てくればなんてことはなかったな、なんて
外に出たから思えることだ。
所詮他人事になってしまっているから言えるだけ。
それでもやっぱり、滑稽に思えてしまうのが申し訳なくて、
横目で見ながらスルー。ごめんなさい。
今の私には、あなたの望む言葉は渡せません。
海の底から抜け出したつもりでいて、
きっと私は今もまだ別の海にいるんだろう。
動くネクトンにも沈むベントスにもなれない、
中途半端なプランクトンだから、今日も流されてふやふや。
いつかは浮き出てニューストン?
それは幸せなのだろうか。どうだろう。
海の底で息をするほど息苦しくはないけれど、
まだまだ息継ぎは苦手なので、
優しい嘘は欲しいかも。
お礼に私も優しい嘘をあげよう、多分。
泳げない魚/野猿 feat.CA
泳げない魚/野猿 feat.CA - 歌詞検索サービス 歌詞GET